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2008年8月

2008/08/25

市川崑追悼特集 ~序盤戦~

盆休みの後半から,この休み明け1週間,ともかく公私とも多忙を極めており,映画を観てもまったく記事が上げられない・・ 無理やり観るから,なお更,記事を書く時間がなくなるというジレンマにハマっております。

そんな中でも,シネ・ヌーヴォの「市川崑追悼特集」は合い間をみて,何本か観に行っています。この週末までに観たのは次の7本・・

『愛人』(1953年)
『日本橋』(1956年)
『細雪』(1983年)
『プーサン』(1953年)
『女性に関する十二章』(1954年)
『ビルマの竪琴』(1956年)
『破戒』(1962年)
『ぼんち』(1960年)

さすがに退屈な作品はひとつもないですが,やっぱり旧い作品が良いですね。個人的な好みですけど・・

なかでも,意外に良かったのが『女性に関する十二章』。ほとんど語られることのない小品ながら,市川監督らしい洒脱でウィットに富んだ逸品です。

しかし,残念ながら,フィルムの状態がすこぶる悪く,コマ飛びは多いし,ひょっとしてシーンごと落ちているのではないかと思われる場面もあり。鑑賞機会が少ないのはそのためなのでしょう。

今後,こういう作品の復元・保存には力を尽くしていただきたいと願うばかりです。

ともあれ,なかなか感想記事を書く時間が取れないのは残念至極!(T_T

時間ができたらまとめて! なんて私にできるわけないか・・

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2008/08/12

『愛人』 ~別世界に遊ぶ感覚~

1953年/東宝/87分
監督:市川崑
原作:森本薫
脚本:和田夏十,井手俊郎
撮影:玉井正夫
美術:村木忍
音楽:黛敏郎
出演:
有馬稲子
岡田茉莉子
越路吹雪
菅井一郎
尾棹一浩
三国連太郎


シネ・ヌーヴォ「市川崑 追悼特集」からの第一弾は,ソフィストケートされた洒落た感覚のコメディ。

市川監督本人が,森本薫の戯曲「華々しき一族」に惚れ込んで映画化した1本で,多分に演劇的な構成。ストーリー自体は,よくある三角関係・・いや四角関係,実は五角関係?の恋愛喜劇であります。

敗戦からさほど経ていないころの作品ながら,時代背景を全く感じさせない,ちょっと浮世離れのした,洗練された感覚が心地よいですね。

演出のテンポがよく,全体がリズミカルで,どこかアメリカ製のコメディ映画を観ているような,別世界に引き込まれるような楽しさがあります。

ただ,そこに描かれる恋愛感や,男女の恋情の機微は,やはり日本的でウェットな情感をたたえているのです。


有馬稲子が,ブルジョワ一家の快活で現代的なお嬢さんを好演しているのですが,この頃の彼女をこんなに伸びのびと魅力的に撮った作品は珍しい感じですね。

この人,タカラヅカ歌劇団きっての美人といわれながら,どうも映画ではさほど目立った印象がなかったのですが,この作品の有馬稲子は出色だと思いました。

一つには,キャメラワークにおいて,人物の極端なクロースアップを多用し,角度を微妙に変えながら,被写体の魅力を存分に引き出す手法が功奏している部分もあるのでしょう。


一方,母親役の越路吹雪は,当時まだ三十過ぎだったはずですが,さすがに貫禄があって堂々たるもの。この人も映画界が上手く使いこなせなかった一人ですが,こういう作品ではコメディエンヌとしてのセンスが活きますね。


演出的には,セリフより俳優の動作や表情に重点を置いていて,それが随所で伏線となり,映画的なサスペンスを醸しだしています。

巧みにミスリードして,観客にいっぱい食わせるみたいな演出もあり,また,十八番のストップモーションを使った編集もあり,さすが才人・市川崑,いろいろなことをやっています。


ラストは,みんなが一斉に泣き出し,最後の最後まで収拾がつかない展開。いったいどう締め括るのかと思ったら・・

なるほどそう来たか! 市川作品らしく,唐突ながら,奇妙に納得してしまう不思議なラストショット。

恋だの別れだのと言っても,所詮,人は今を生きていかなきゃという,濡れながらもカラッとした終幕。後年の『おとうと』にも通じる感覚だと思いました。


市川作品の魅力は,娯楽に徹していながら,随所に実験的な試みを入れ,それが空気のように馴染んで,観る者を知らず別世界に引き込んでしまうところ。これぞ映画職人の真骨頂でありましょう。


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2008/08/04

映画監督 市川崑 特集上映始まる

この土曜日から,大阪・九条のシネヌーヴォにて,「映画監督 市川崑 追悼特集」が始まりました。

何せ,8週に渡って60本を上映しようというのですから,これは東京のフィルムセンター並み。関西では珍しい大特集ですね。

今年亡くなるまで現役監督でしたから,近年の話題作は観ている人も多いと思いますが,映画黄金期からの作品をしっかり線で観てきている人って,ひょっとして少ないかもしれないですね。

今回は観通しておくいい機会なんですが,60本のうち,果たして何本観られるか? 全部観るわけにいかないし・・

70年代以降のはリアルタイムで観ていることもあるので,60年代以前の旧い作品を中心に,ちょっと計画を立てようかと。(計画的に映画を観るの苦手なんですけど・・)

ただ,今年の初めに,「京マチ子映画祭」で『鍵』や『穴』,『さようなら、今日は』などは観ているし,『炎上』や『おとうと』,『私は二歳』,『黒い十人の女』,『東京オリンピック』などは既に観ているので,ちょっと楽かも・・ 

でも,そういう有名作ほど再見したいんですよねぇ。(白状すると,先月,京都みなみ会館の「市川雷蔵映画祭」で,『炎上』だけは再見したのでした)。

で,この日曜,さっそく,『愛人』(1953年)と『日本橋』(1956年)の2本を観てきました。特に『愛人』はなかなか素晴らしかった。

レビューはまた近日。いやはや,この夏は忙しくなりそうです。(^^;


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